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特集:高齢者の3人に1人が認知症になる時代。日常生活に取り入れるトレーニングで予防につなげる

高齢者の3人に1人が認知症になる時代。日常生活に取り入れるトレーニングで予防につなげる

今から約10年後の2025年、65歳以上の高齢者は3657万人(人口の30.3%)になると言われています。日本人の3人に1人が高齢者になる計算になります。一方認知症患者数は現在、認知症の前の段階である軽度認知症患者を含めると860万人いると言われており、同じく2025年にはその数1300万人になると言われています。つまり2025年、高齢者の3人に1人は認知症患者ということになるのです。今回は「認知症予防プログラム」を手がけるブレインケア株式会社による認知症予防イベントを取材してきました。

認知症予防とは

認知症は発症すると現代医学では完治する方法はありません。2016年現在、進行を遅延させる薬はあるものの治療薬はなく、手術することも不可能です。唯一できることは発症を遅らせるための予防活動のみ。認知症を発症する前の段階で発見し、予防を適切に取り組むことで、健常な状態に戻ることができたり、発症を遅らせることができると言われています。

今回イベントの会場となったのは、介護予防特化型デイサービスの「イーライフ戸越店」(東京都品川区)。参加者は主に80代の高齢者とその家族。認知症発症を最も心配する層が、スタッフや他の参加者と交流しながら予防活動を実践していました。遅らせるための予防トレーニングには大きく4つの分野があります。

知的トレーニング

知的トレーニング

パズルや計算、暗記など、直接脳を使うトレーニングです。一般的な「脳トレ」に留まらず、中には“懐かしいもの”の香りを嗅ぐことで記憶を刺激し、そこから連想するエピソードを思い出す「香り連想トレーニング」といった、五感を刺激して記憶力を鍛えるといったものもあります。

身体トレーニング

身体トレーニング

運動は「最も確かな認知症の予防因子」とも言われ、研究から脳に良い影響を与えることがわかっています。特に「ながら運動」といった複数の動作を一度に行う運動は脳を活性化させます。国が50年に渡って行ってきた疫学研究でも週3回30分以上運動を行っている人は、行っていない人に比べアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の発症リスクを40~50%下げる効果があったと報告されています。

食事トレーニング

食事トレーニング

日々の食習慣により、認知症になりにくい身体を作っていくことができます。「血流を保つ」「脳や神経細胞の発育を助ける」「神経細胞に溜まった不要な成分を分解する」など、いくつかの目的に対して摂取すべき栄養素や、健康のバランスを考えた摂取方法などを心がけます。今回のイベントでは血栓の予防に効果があるブリや、カロチンを多く含み免疫力を高めるにんじん、かぼちゃなど疫学研究で実証された食材を使用したお弁当が提供されていました。

生活トレーニング

日々の生活習慣の中に、意識的に予防活動を加えていきます。「毎朝一日の予定を具体的に書き出し、その通りに生活する」「毎晩、その日起きたことや感じたことについてひと言日記を書く」など、無理のない範囲で取り組めて、認知症の予防に良い活動を継続的に行うことが重要と言われています。

社長

脳波測定を行うイベント参加者。こういったグラフや数値による“見える化”でも認知症の前兆を知ることができる。

今回のイベントでは生活トレーニングを除く3つのトレーニングに加えて、認知機能をトレーニングできるという脳波プログラムを体験していました。

認知症になる要因のひとつとして、社会との交流がなく自分の世界に閉じ込もってしまうことがあります。認知症予防のひとつのキーワードは「ながら行動」。複数のことを同時にこなすことで脳の活性化を促す事はもちろんですが、友人や知人とこういったイベントなどで交流をすることもまた認知症予防につながっているのかもしれません。



介護報酬のマイナス査定からもわかるように、福祉にかけられるお金は間違いなく逼迫しつつあります。そんな中「未病」に努めることは、社会保障費の抑制だけでなく私たち人間が最期まで誇りを持って“自分らしく”生きることにもつながっていくのです。

ブレインケア株式会社

http://braincare.jp/

企画・文/山本 大輔 編集/リブアップワーカー編集部