トップページ > 特集:ペットの高齢化を考える

特集:ペットの高齢化を考える

ペットの高齢化を考える

ともに年老いてゆく人間とペット。共存のためにできること

0141

(左から)株式会社CARE PETSシニアマネージャー石井英知さん、ショップマネージャー・動物看護師 須之内江里さん、蛭田愛美さん

高齢を迎えた犬や猫は、人間同様に手厚いケアが必要となり、そのケアに費やされる時間も増えてくるものです。

そのため、忙しい飼い主に代わり見守りから散歩、給餌の介助を代行する「ペットシッティングサービス」に徐々に関心が集まっています。

都内を中心にペットシッティングサービスを展開する株式会社CARE PETSのスタッフに、サービスの概要、そして人間の高齢化と合わせた、今後の“ペットと人間のあり方”についてお話を伺いました。

忙しい飼い主に代わりペットの生活を見守る

0143

動物看護師が携帯するバッグ。衛生用品や介護記録のファイルなどがコンパクトに詰められている。

Q.ペットシッティングサービスの概要について教えてください

須之内

ペットの飼い主さまが家を空けている間、動物看護師(※)が自宅まで伺いペットの世話を行います。依頼される方について、ここ(東京都青山店)では一人暮らしの女性の方、また夫婦共働きの世帯のお客さまが多いですが、出張など長期で家を空けなくてはいけないケースが多く、私たちシッターは鍵を預かり、決まった時間に自宅へ伺いペットの様子を見ると同時に食事などのケアを行います。

Q.具体的にどのような依頼が多いのでしょうか?

須之内

全体的に高齢のペットを飼われている方が多く、自由に歩くことが難しいため、決まった時間にエサや薬を与えてほしいという依頼内容が多いです。エサも自力で食べることが難しい子も多くて、人間の食事介助同様、こちらが口元まで運んで与えることもあります。

おおまかに、犬は人間の約3倍の早さで齢を取ります。そのため飼い主さまが1日家を空けただけでも、犬にとっては3日分の時間に相当します。その分具体が悪くなるリスクも高くなるので、体調が急変した場合に備えて見守りだけでもしてほしいという依頼もありますね。

ほかにはペットホテルや動物病院に預けたけどなじめずに、私たちのところに相談に来る方もいます。人間もよく外泊で枕が変わるとなかなか寝つけなかったりするじゃないですか。それと同じ感覚ですね。家に帰ってくると同時に嘔吐するなど体調不良になる子も多く、できるだけ住み慣れた環境でペットを見守ってほしいというニーズも多くなっています。

※動物看護師: おもに動物病院で獣医の診療のサポートを行う仕事。また入院中のペットの看護、受付、調剤などその業務は多岐にわたる。 「動物看護師統一認定試験」の合格者が有資格者となり、現在、大学や専門学校でも動物看護師育成カリキュラムが組まれている。

飼い主・獣医師・ペットシッター三者間の情報交換が質の高いケアを生む

Q.ペットの長寿命には医療、つまり獣医師の力も大きく寄与している気がします。医療とペットケアの関連についてはどのようにお考えですか?

須之内

私たちも、高齢でいつ何が起きるかわからないペットたちを見ているので、動物病院までカウンセリングに行きます。ペットの状態を把握するにあたり、飼い主さまからの情報だけでは不十分なところもあるため、かかりつけ医ところに出向いて、専門的な情報を得るようにしています。このあたりは人間のケアマネジャーと共通する部分かもしれません。

できれば診察のとき私たちも同行できればベストなのですが、時間が合わない場合は後にアポを取って獣医師からお話を聞くようにしています。いずれのケースでも獣医師の指示を仰いだ上でサービス内容を飼い主さまと相談した上で決めていく、つまり飼い主さま、獣医師、ペットシッターの三者関係を構築していくことが大切だと思います。

石井

まだペットシッティングサービスの認知度が低いこともあり「お客さん(患者)が取られる」といった誤解をされる獣医師がいます。現在、急速に動物病院の数が増えていることもあり、やはりそういった危機感を持たれている方もいるようです。その反面、「動物の介護について専門ではないので、こういったシッティングサービスがあるのは非常に助かる!」といった賛同の声もあります。

私たち以外にもペットシッティングサービスを展開している業者は多くいますが、医療、ペットケアだけでなく、ドッグフードメーカーやドックランなど施設サービス、動物保護団体など、動物に関する団体やビジネスを行う企業が横串でつながるようなプラットフォームがまだできていないんですね。そこを一体化できるような仕組みづくりを行いたいというのが当社の理念の一つでもあります。

人間の介護同様、一人で抱え込まないでほしい

Q.ペットを飼われている方たちへ、またサービスの利用を考えている方たちへメッセージをお願いします

須之内

とにかく常にペットの状態を把握するよう努めていただきたいと思います。例えばウンチの色、固さ、オシッコの量からでも微妙な体調の変化がわかるものです。いつもは玄関まで出迎えてくれるのに急に来なくなったなど、行動や表情にも注目してあげてください。

蛭田

気軽にサービスを利用してほしいですね。ペットシッティングサービス自体一般的に普及していないせいか、(利用への)ハードルが高いというイメージを持たれている方が多いように見えます。「ペットのケアは飼い主の責務なのに他者に任せている」という後ろめたさもあるみたいです。特に齢をとり体が不自由になるほど、病状が悪化するほど第三者に頼みづらいという風潮があるようで、実際、サービスをお願いするまでに勇気が必要だったという飼い主さまからの話も聞きました。

当社を利用されている飼い主さまは、自ら積極的にペットケアに関する情報を仕入れて、当社のところにたどり着いたという方が多いのです。それ以外の飼い主さまに向けて、どうペットシッティングサービスの存在を広めていくかが課題です。

須之内

ペットのケアを一人で抱え込まないで、頑張り過ぎないでほしいと思います。無理をして飼い主さま自身が病んでしまえば元も子もありません。一度お願いしていただければ、私たちもケアの方法や悩みなどを共有できるので、気持ちの面でも楽になれますし時間の使い方やケアのプロセスに関しても幅を持たせることができると思うのです。同様にかかりつけ医に対しても、話を一方通行で聞くだけでなくケアに関する相談をぶつけてみてください。きっと親身になって答えてくれることだと思います。

訪問左
訪問右

Q.本格的な少子高齢化社会を迎えつつある日本ですが、ともに高齢化していく人間とペットの共生について考えるところはありますか?

石井

現在、高齢の犬を引き取る老犬ホームや、ペットとの同居が可能なサービス付き高齢者向け住宅が増えていますが、当社もそういったサービスの展開を考えています。

具体的に、首都圏近郊の別荘地などにはバブル期に大量に不動産が建設され、その後買い手がつかず空き家になっている物件がたくさんあるんですね。そこを改装して老犬ホームにしようとする計画があります。

今地方自治体が都心部で暮らす人を誘致するIターンに力を入れていますが、土地も広く空き家になっている家などをリノベーションして、ペットとともに余生を過ごせるような環境が整っていったら面白いなという気がします。Iターンではその地域の産業に従事して収入を得ることになりますが、仕事や近所付き合いなどを通じて地元の人たちとコミュニティを形成していければ、おのずと他者と共生する文化が培われ、老犬、老猫に対する理解も広まっていくような気がします。

あと人間(飼い主)の高齢化に合わせた取り組みについてですが、「ペット信託(商標登録)」を広めていきたいと考えています。これは飼い主が亡くなったあと、自分の資産のいくらかをペットのために費やすよう、生前に行政書士に依頼して書面として遺すものです。この仕組みによって、飼っていたペットが老犬ホームで引き取ることができるようになります。その結果、動物保護団体のボランティアの方たちの負担も減らせることになるでしょう。結局、ペットとの共生で一番懸念となるのは、自分とペットどちらが先に死ぬのか? というところですからね。

CAREPETSロゴ

今回のお店

CARE PETS(ケアペッツ)では、動物看護師によるホームケアサービス、およびペットシッターサービスを提供しております。専属の動物看護師が担当するので、高齢であったり、障害があっても安心してお任せください。

●CARE PETS 青山店

〒107-0062
東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山5F
TEL:03-3403-1220
ホームページ: http://www.carepets.tokyo/
現在青山店のほか、神楽坂店、江東店、目白店(以上東京)、高崎店(群馬)が営業中。順次新規店舗オープン予定。

取材・文/大西 啓介 イラスト/渡辺 貴博

←Part1に戻る