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押さえておきたい現場の常識

ここは高齢者施設「フレンドハウス」。元気だけが取り柄の新人ワカコちゃんは毎日が失敗の繰り返し…… それでも先輩職員マツオカさんの教えを受けながら日々研さんを重ねていきます。ついうっかり忘れがちな、介護の現場におけるさまざまな仕組みや法令などをワカコちゃんと一緒におさらいしていきましょう。

第1回 入所者の住所は施設? 家族のいる家?

そういえば、先週ウチに来た〇〇さん、北海道のご出身らしいですね。

うん、札幌にいる娘さんのご家族と一緒に住んでいたみたいだけど、息子さんご家族の東京への引っ越しに合わせて一緒に来たみたいだね。でも環境が変わると認知症の悪化が進むというし心配だよね。娘さんご家族はまだ北海道にいるみたいだけど……

私だったら北海道に残っていたいかなー。空気はキレイだし、ごはんはおいしそうだし。でもこういう場合、〇〇さんの“住所”ってどこ扱いになるんですか? 北海道の娘さん? 東京の息子さん? それともフレンドハウスになるんですか?

通常の「社会福祉施設」の場合は、1年未満の入居であるなら、原則家族の住むところが住所になるんだ。ただし「老人福祉施設」についてはそれ以上の長期の入居が見込まれる、つまり施設で最期を迎える可能性が高いので、入所した施設の住所に移すことになっているんだ。①

そうなんだ。でも都心部とか高齢者の多いに町に引っ越してくると、その町の介護保険料の負担が多くなりますよね?

そうならないように「住所地特例」という措置がとられているんだ。このおかげで〇〇さんが引っ越した後でも、介護保険料の負担は現在の自治体でなく以前住所のあった自治体が負担するようになっているんだ。②

そっかー。私もこないだ元カレに偶然バッタリ会って、ごはんごちそうになって「悪いなー」と思ってたけど、これも“特例”ですよね?

オイオイ、君は大人しそうな顔してそんなことさせているのかい……?

解説

①住所の取り扱いについて

長期の入居が見込まれる施設の場合、入所にあたり利用者の住所変更手続きを行うように施設側から説明があります。しかし入居者の都合などで住所変更をしないまま入所させているケースもあるようです。

遡れば、昭和47年に国民健康保険課長から「住所の取扱いについて」という考え方が示されました。その内容は「児童福祉施設以外の社会福祉施設に入所する者の場合それらの施設に、将来に向かって1年以上居住することが当該施設の長によって認められる場合(文書によることを要しない。)を除き、原則として家族の居住地に住所がある。ただし、老人福祉施設に入所する者については、通常当該施設に1年以上居住することが予想されそこに住所があると考えられるので、当該施設の長の認定は必要がないこと。」と示されています。

②住所地特例

施設を多く抱える自治体の財政負担を軽減するための制度で、現在の市町村から他の市町村の施設に入所し、住所を施設所在地に変更した場合、住所変更前の市町村の被保険者となります。以前は介護保険三施設(特別養護老人ホーム、介護老人保険施設、介護療養型医療施設)のみ対象でしたが、平成18年4月より有料老人ホーム、軽費老人ホームなどにも適用が広がりました。

監修/リブアップワーカー編集部 キャラクターデザイン/Yocico Momose

キャラクター

ワカコちゃん

●ワカコちゃん

大好きだった祖母の死をきっかけに介護の世界に入ることを決意。まだまだ未熟だけど元気で明るくいつもみんなの人気者。趣味はお菓子づくりと昼寝と愛犬トイ・プードル「キクエ」の散歩。祖母と同じ名前を犬に付けたため家族からは大ヒンシュクを買っている。

マツオカさん

●マツオカさん

「フレンドハウス」のケアマネージャー。ワカコちゃん直属の上司で、福祉に関する法律を熟知しており周囲からの信頼も厚い。趣味はスキーとバンド演奏(キーボード)。仕事熱心だが、毎年サザンの年越しライブに行くため大みそかの勤務は頑なに拒んでいるとか。