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押さえておきたい現場の常識

ここは高齢者施設「フレンドハウス」。元気だけが取り柄の新人ワカコちゃんは毎日が失敗の繰り返し…… それでも先輩職員マツオカさんの教えを受けながら日々研さんを重ねていきます。ついうっかり忘れがちな、介護の現場におけるさまざまな仕組みや法令などをワカコちゃんと一緒におさらいしていきましょう。

第6回 中国の介護事情

こないだ道に迷って、人に聞こうと声をかけたらまったく日本語が通じなくてビックリしました。たぶん中国の人だったんじゃないかなって。

今、中国からの観光客がどっと日本各地に押し寄せているよね。駅の案内も中国語併記のものも増えているし、今年流行語にノミネートされた「爆買い」なんて言葉も中国人観光客のことを指しているしね。

ところでマツオカさん、中国って世界最大の人口なんですよね。日本だってこれだけ少子高齢化が問題になっているのに、中国ではもっと深刻な問題なんじゃないでしょうか?

中国では2015年から「一人っ子政策」が廃止①されることになって、子どもを2人まで産めるようになったんだ。これで少しは高齢化問題が緩和されればいいけど、近い将来、日本以上に厳しい現実が待っていることは確かだよね。

中国でも介護人材が不足しているんじゃないですか?

そうだね。実は日本の介護事業者も中国への進出を着々と始めているんだよ。「日本式の高水準の介護クオリティを中国でも」という触れ込みだけど、日本の企業が中国で展開していくには色々と課題もあるんだ。第一、日本の企業が単独でビジネスを行うことが中国では認められていない②からね。

そうなんだ。じゃあ中国の会社とうまく協働していく必要があるということですよね。

日本国内でさえ介護人材が足りていないのに、中国へ渡ってきちんとした技術指導ができるのか②、そこもちょっと不透明かなって思うね。ただ「郷に入っては郷に従え」。日本人も中国の文化や習慣をよく理解して、早くその環境に溶け込もうとする努力も必要だよね

そっかー。もし私が中国で働くことになったらチャイナドレス着ようかな。おじいちゃんたち喜んでくれるかも。

!!!

じょ、冗談ですよ! そんな顔しないでください! 第一動きにくくて仕事にならないじゃないですか。

解説

① 一人っ子政策の廃止

中国共産党は1979年以来、36年続いてきた一人っ子政策の廃止を決めました。2013年に、夫婦のどちらかが一人っ子の場合、2人目を出産できる規制緩和がなされましたが、今年に入り、無条件で2人目の出産を認めるという、事実上、一人っ子政策の完全撤廃が決定しました。中国では2012年を境に国内の労働力人口が減少し、2050年には総人口のうち35%が60歳以上になると算出されています。

② 中国に進出する日本の介護事業者

日本の企業が単独で事業を展開することは、中国では認められていません。そのため日本の企業が中国へ進出する際は、必ず現地(中国資本)の企業と合弁する必要があります。それでも多くの介護事業者が、中国への進出を決断していますが、日本の介護技術を現地スタッフに教育できる人材が確保できているのかも疑問に残ります。

長年の中国共産党による支配の影響なのか、中国の企業はトップダウン型で統治されている傾向が強く、極端に言えば「上司の命令は絶対。逆に言われたこと以外はやらない」ということです。中国人経営者と現場スタッフに対し、日々現場で起きる問題や発見のフィードバックが介護サービスの質を上げるためにどれほど重要か理解してもらうことも、中国で成功するために必要なカギと言えるでしょう。

監修/リブアップワーカー編集部 キャラクターデザイン/Yocico Momose

キャラクター

ワカコちゃん

●ワカコちゃん

大好きだった祖母の死をきっかけに介護の世界に入ることを決意。まだまだ未熟だけど元気で明るくいつもみんなの人気者。趣味はお菓子づくりと昼寝と愛犬トイ・プードル「キクエ」の散歩。祖母と同じ名前を犬に付けたため家族からは大ヒンシュクを買っている。

マツオカさん

●マツオカさん

「フレンドハウス」のケアマネージャー。ワカコちゃん直属の上司で、福祉に関する法律を熟知しており周囲からの信頼も厚い。趣味はスキーとバンド演奏(キーボード)。仕事熱心だが、毎年サザンの年越しライブに行くため大みそかの勤務は頑なに拒んでいるとか。